お向かいさんの引っ越し

朝早く、玄関のドア越しにガタガタと大きな音がして、何かと思ってドアスコープを覗いたら、お向かいさんの引っ越しで業者さんが台車を使っていた。

10日くらい前に業者のダンボールなどが置いてあったので、近いうちに引っ越されるんだな、とは思っていたけど、いざとなると寂しくなる。

このマンションの住人はわりと出入りが多い方なのだけど、不思議と僕たちが越してくる前から住んでいる方は出ていかなかった。そんな中、向かいのお姉さんは珍しい例外となる。

顔を合わせると笑顔で挨拶してくれる方で、ちょいと癖のある美人って感じ。僕の周りにはあまりいなかった、コスメティックな香りをまとっている方で、彼女が通り過ぎたことは、その残り香で分かった。

こんなこと言うと、気持ち悪いオッサン!と嫌われそうだが、お姉さんの鼻腔を刺激する残り香が好きでしした。