会話のキャッチボールについて

作業の合間にショルダーバッグの革の手入れをいつつ、原稿を1本分書き上げて担当さんに送信したら、久しぶりに小頭方面に散歩するついでに角打ちを覗いてみた。

飛沫を浴びたりなんだりを避けるため、カウンターの端っこで黙って飲んでいたら、僕の同世代か少し上くらいの男性客2人が、ある趣味について語り合っていた。

いや、語り合っていたというのは違う、お互い、自分が語りたいことを口にするだけで、相手の言葉を受けて会話を転がすということをしていない。いわゆる、相互一方通行の会話だ。

これって、以前の馴染みだった駅近くの角打ちや、一番街の立ち飲み屋でも経験したことがあって、筑後地方のお土地柄なのかと思っているのだけど、どうだろう。

もちろん、下北沢など東京近辺でも体験したことはあるけど、それはボケたっぽい老紳士間の会話で、ゲラゲラと盛り上がる同世代の間では希少っていうか、そんな人がいたら相手にされない。

まあ、そんなこんなでも、楽しそうにしていらっしゃるのだから、僕は黙って聞いているだけなのだけど、ふと、酒場で悪態をつく、なんてことをしなくなったと、我が身を振り返ったりもする。

だって、悪態ってのは、相手との信頼感と、いい塩梅の距離感があるうえで、吐露して良いもの。そんな甘えられる環境なんて、下北沢に置いてきたので、無理ってことなんでしょう。なーんて、自問自答してみる。