抑制の効いたドラマと火力全開のドキュメント
作業の合間、一昨日放送されたテレ東の新春ドラマスペシャル「人生最高の贈りもの」を見る。お涙ちょうだいのドラマだろうとスルーしていたけど、Twitterの評判が思いのほか良くて、チラと見始めたら、思っていたのと違った。
いわゆる、癌に冒された余命短い主人公の物語なのだけど、病の表現は最小限で、描かれるのは日々のたわいない生活風景。まるで小津でも意識しているかのように、淡々としている。
そして、鬼子母神と安曇野の風景、穏やかなBGMをあいまって、美しい作品に仕上がっていた。
父と娘の物語でありながら、他との関わり、自分との関わりを問いかける作風で、多くを視聴者に委ねる手法だ。
娘が父親に与えられる“幸せ”とは、世話を焼かせ、ちょっとだけ心配させ、なによりも同じ時を過ごすこと。それが”最高の贈りもの”だったのかもしれない。
晩飯後、なんとなくチャンネルとテレQに合わせたら、「家、ついて行ってイイですか?」の特番をやっていて、後半、一昨年放送した「オナニーマシーン」のイノマーさんの奥さんの回を再放送していた。
嗚呼、下北沢の風景が懐かしいなあ、なんて見ていたら、実はテレ東のスタッフがイノマーさんが亡くなるまでのドキュメント映像を撮っていて、それが地上波で流すのはヤバいんではないかってとこまで、隠すところなく映し出された。
最後まで自分の命を使い切ったかのようなイノマーさん。凄いとしかいえない人生だった。ただ、彼のように強くなれない人もいて、火力全開で生き抜く人生もあれば、弱火トロトロで生きていく人生もあってもいいよね、ってな感じの世の中が僕は好きだ。