忘れかけていた夏

湿度が低めで風が涼しく、朝晩は窓を開けっぱなしにしていると肌寒いくらいだった。まるで高原にいるような過ごしやすさ。福島の山奥にある奥さまに実家にいるみたいだった。
それでも最高気温は32度。数字だけ見れば、猛暑だ。
いったい、30度を越えても驚かなくなったのは、いつくらいからだろう。僕が上京したばかりの昭和の東京はそんなことなかった。貧乏学生なんで、もちろんエアコンなんてなく、風呂なし玄関便所共同の四畳半に住んでいたけど、扇風機で暑さはしのげていた。
PCを使って働くようになった15年くらい前、エアコンを使わなくても熱暴走なんてしてなかった。あ、ブラウン管モニターが凄い熱を持って作業部屋が高温になったことはあったかな。すると、結婚して松原に住んでからか。まだ10年は経っていないんだな。


筑後地方の炭鉱の町に住んでいた小学生の頃、6人家族の僕たちを涼しくしてくれていたのは扇風機とウインドウファン(窓に備え付けの送風機)だった。布団をぎゅうぎゅうに並べて寝ていたけど、暑くて寝苦しいなんて記憶はない。昼間はジリジリと強烈な日差しが暑かったけど、朝晩は過ごしやすかった。あの40年前の夏の記憶を忘れてしまいそうな、ここ数年の猛暑だ。


B誌の作業は表紙用写真とプレゼント用パッケージデータをWさん宛に送信。割付けを2頁半。
MB誌のTさんから進行予定表と仮の台割りが届く。これは今月も発注があると受け取っていいんだよなあ……。