人形町を愉しむ

B誌最終号に向け、素材セレクト&ファイル変換。まだ届いていない素材もあるので、ラフ作りまでは至らず。押見修造さんの『漂流ネットカフェ』を読み始める。

夕方、電車を乗り継いで人形町へ。日本橋社会教育会館で柳亭市馬師匠の落語会。単独公演ならではだろうか、1時間を越える長尺噺(唐茄子屋)を初めて聞いた。与太郎噺かと思わせといて、思わぬ展開でハラハラさせる。演る方も体力が必要なんだろうな。中休み後の噺とともに、吉原に関わる内容で、実際に色遊び(昭和33年の売春防止法施行以前)を経験した人が少なくなっていく現在、なんとか噺だけでも残していって欲しいもんだ。それを理解する聞き手の耳も必要だけど。

公演の前後、人形町の酒場で軽く飲んだ。公演前はM嬢にTwitterのやり取りで教えてもらった焼き鳥屋「十五」へ。小袋刺しが美味しいと聞いていたのだけど、確かにプリップリの食感で、肉の甘みとピリ辛のタレの組み合わせが絶妙。串は大山鶏のハツ、白レバを塩、ハツモトとツクネをタレで。ハツが柔らかくて旨いのなんの。驚いたのはハツモトのこってりした味わい。鶏モツのしぐれ煮を作る時、脂控えめにするためにハツから削ぎ取ってしまう部分なのだけど、炭焼きして甘さ控えめのタレを絡めると、鼻から甘い脂の香りが抜け、うっとりする旨さ。カウンターだけの小体な店かと思ったら、2階もあるようだった。こじんまりとした飲み会に使ったら良さそうだ。
公演後は、立ち飲み屋「魚平」へ。先客にやたら嫌味な言葉で店員に絡んでいるオヤジがいたけど、刺し身も揚げ物も200円〜300円のお手頃価格。ホウボウの昆布シメと鯵刺しはどちらも頬ゆるむ旨さだった。
人形町は上京したての頃、叔母に紹介され、いろいろとお世話になった老紳士の会社があった街だ。旨いもんの愉しみ方も教えてもらったし、話の訊き方も自然と身につけさせてもらった。初めて吉野家の牛丼を食べた街でもある。うる星やつらが流行っていた。