訃報、ゴダールは若き日の僕の映画体験を拡げてくれた
作業中、ふと、TwitterのTLに目をやると、映画監督、ジャン=リュック・ゴダールが亡くなったというニュースが。享年91歳。スイス西部の自宅で、医師処方の薬物を自ら使用する“自殺ほう助”により亡くなったそうな。毎日新聞の報道によると、関係者は「病気ではなく、疲れ切っていた」と説明したらしい。
1960年代、ヌーベルバーグの旗手と言われ、自由自在な映画表現だったけど、自らの死もおのれで操るとは、すべてにおいて唯一無二の表現者だったんだな。
ゴダール作品といえば、学生時代の僕を背伸びさせた映画だった。白山で授業を終え、麹町の日本テレビでバイトして、そこから、今はなき吉祥寺の近鉄百貨店の裏にあった映画館のオールナイトで、何本もゴダールの作品を観た。
最初に観たのは「ディーバ」を目当てに行ったフランス映画特集の「気狂いピエロ」だったと思う。それまで観たことがない、面白さと美しさだった。これを機に観直してみようかしら。
オールナイトで観た中で、最も印象に残っている作品は「男性・女性」だった。観ているうちに作品の世界に吸い込まれていくような感覚で、ビストロの隣の席で男女の会話を聞いているようだった。
そして、映画を観たあと、朝飯は松屋の牛めしで、一晩煮込まれた味噌汁のニュルニュルになってしまったワカメも印象深い。朝定食が始まったのが1985年だから、あの頃は牛めし一択だったんだけ。