萩尾望都「ポーの一族展」を観て

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作業前に図書館へ予約してた本を借りに行き(書棚は閲覧できず、入り口に設置されたカウンターで、本の受け取りと返却のみ)、隣接した美術館で、萩尾望都さんの「ポーの一族展」を観てきた。

1972年発表「すきとおった銀の髪」のメリーベルエドガーのエピソードから始まるシリーズから、僕がリアルタイムで連載を読んでいた80年代の作品まで、原画や関連資料がたっぷり。

引っ越しのときに溜まった本を手放すようにしているため、前期と後期の全集も手元になくて、原画を懐かしく見られた。

意外にホワイト多めにかけられていて、ざっくりと書き直されたカットも。しかし、最近の作品はタッチが繊細で(ご本人は加齢で筆圧が落ちたと謙遜されているが)、ホワイト修正もほとんどない。

もはや、漫画の生原稿というより芸術品の域で、近づいて細部まで見ると、ペンタッチとカラーの色使いの素晴らしさに溜息が漏れてしまう。萩尾さんだけじゃないけど、漫画家さんって中高年になっても進化されるんですよね。

原画を時系列に沿ってみてると、「トーマの心臓」の番外編の「訪問者」が印象に残っていて、このころから雑誌「プチフラワー」や「ぶーけ」「ララ」「プチコミック」などを購読し始めていた。

それまでは「週刊マーガレット」や「りぼん」を購読していて、ちょいと読者層的に年齢を上げたのが、僕が高校に入ったあたりだった。当時は少年、青年漫画も「少年キング」「モーニング「スピリッツ」なんかを読んでいたけど、圧倒的に少女漫画の読書量のほうが多かった。

萩尾さんの印象は「11人いる!」や「百億の昼と千億の夜」「スター・レッド」「ウは宇宙船のウ」など、SF漫画の印象が強かったんですよね。だから、「訪問者」を読んだとき、繊細な作風と物語に衝撃を受けたのかもしれない。