長月の晦日、斬れない映画「斬、」を観る
9月が終わる。夏も終わったようだ。鼻腔の粘膜のヒリヒリ感が治まらないので、これは風邪のひきはじめではなくアレルギーの症状だと認定。夏の間に使っていた奥さまお手製のマスクから、花粉を通さない不織布のマスクに替える。
しっかし、いったい何の花粉が飛んでいるのだろう。ブタクサの症状とは、ちと違うような気がするのだけど。
晩飯後、Amazon Primeに出てた塚本晋也監督の「斬、」を観る。黒船来航以降の江戸末期、藩を離れて農村で居候生活をしている浪人・杢之進のお話。剣の達人らしいのだけど、なぜか人を斬ることができない。
想いを寄せているらしき村の女・ゆうがいるが、その関係がもどかしく、壁に向かって自慰をする姿が痛ましい。とにかく、主人公の行動の根拠が分からないのだ。なぜ斬らない? なぜ抱かない?
もしかして、池松壮亮演じる主人公は、幕末の世に侍のカタチで堕ちてきたキリストではないのだろうか。そうすると、すべて合点がいくのだけど、まさかね。エンタメというより、モヤモヤと愉しむ映画です。