子供の目線で見る戦争の狂気、映画「ジョジョ・ラビット」を観た
今日は1日、映画館がファーストデー割引きの日なので、洗濯などの家事を早めに終わらせ、自転車でTジョイ久留米へ。『マイティ・ソー バトルロイヤル』の監督、タイカ・ワイティティさんの新作『ジョジョ・ラビット』(原題:Jojo Rabbit)を観る。
第二次大戦後期、アドルフ・ヒトラーをイマジナリーフレンドとしている、ドイツ人の少年の物語。日本にも軍国少年はいたけど、それよりも自分の欠損を補填するように、ナチスを心酔しているようだった。
戦争はこの少年の目を通して描かれているため、ディティールはそんなに深くない。その代わり、戦争という狂気は、子供目線であることで、観客は世界を覆う訳のわからない恐怖として体験することになる。
一方で、彼を含む弱者の描写は肌感覚で描かれ、距離感が近い。身体の弱い子、いじめられっ子、見た目の醜い子、戦争の前線に出られない兵士、そして、ゲシュタポに追い詰められるユダヤ人。すべての弱者への視線が優しい。
母親役のスカーレット・ジョハンソンさんの、スットボケたようで芯の強い演技が素敵。片目を失ったことで戦場にいられなくなった、クレンツェンドルフ大尉を演じるサム・ロックウェルさんのなんと優しいことか。
もちろん、少年ならではの葛藤で苦しんだり苛ついたりするジョジョ少年を演じる、ローマン・グリフィン・デイヴィスくんのなんと演技達者のことよ。
さらに、自らがヒトラーを演じたワイティティ監督の、あくまでもヒトラーを滑稽に落とし込もうとする意図に、戦争、そして人間を区別することへの嫌悪を感じた。
そして、ラスト。ドイツ語ヴァージョンで流れる、デヴィッド・ボウイさんの「HEROES」に涙ウルウルになってしまうのでした。いったい僕は人生で何度、デヴィッド・ボウイさんで泣かされることになっているんでしょうね。