稀勢の里との長い旅が終わった

15年くらい前だったろうか、十両に生きのいい若手力士が上がってきたと話題になった。その取組をテレビ中継で見てみると、本格派の力士体型と取り口で、ひと目でファンになり、この力士は横綱になると確信した。それが、その後、良くも悪くも稀代の力士、稀勢の里となる萩原少年だった。

今朝、TBSラジオを聴いていると、速報で稀勢の里の引退の報が流れた。昨晩、一人でヤケ酒を飲みに出て。誰とも相撲について語ることはなかったけど、夜道を歩きながら、たっぷりと動揺し、涙を流したから、静かな気持ちで受け止めることが出来た。

ほどなく、長年一緒に両国に相撲観戦に行っていた、下北沢のHくんからLINEのメッセージが届き、稀勢の里について、いろいろと言葉を交わした。遠くにいても、こうやって気にかけてくれる友人の存在が、なんとありがたいことか。

両国の椅子席から、毎回、稀勢の里の名を叫んだ。トントン拍子で幕内に上がっていったけど、三役に上がったあたりから足踏みが始まり、叫ぶ声に一段と気持ちがこもっていった。なんとか後押ししたい、稀勢の里横綱になれる力士だと信じていたから。

そんな、稀勢の里を応援する生活が今日、終わった。もちろん、今後も指導者としての荒磯親方を応援していくつもりだけど、土俵に立つ稀勢の里とは違う。

まるで長い旅のようだった。勝ったり負けたりの一喜一憂は、結果的にがっかりの方が多かったかもしれなかったど、本当に楽しかったし、胸が踊った。こんな気分にさせてくれたのは稀勢の里だけだ。

本当にありがとう。無念さと一緒に感謝の気持ちを送りたい。


本日の作業は原稿を2本分仕上げて納品。