火花と音の祭り

午前中で作業を切り上げ、花畑の洋菓子屋でケーキを購入し、奥さまと西鉄電車で待ち合わせして大牟田の実家へ。母親の誕生日が近いので、前倒ししてお祝いする。「こんなことがあるなら、長生きしないと」みたいなことを呟きながら、ちょいとウルウルしている姿を見ていると、久留米に移住して良かったな、とか思ったり。奥さまの協力ももちろん有り難い。

夕暮れ前に奥さまと大蛇山の見物に大正町方面へ。僕は姪たちカマセに付き合った以来だから、19年ぶりになる。もちろん奥さまは初体験。屋台が並んだメイン通りを軽く冷やかし、銀座通、築町あたりをグルリと回ってから、居酒屋で軽く飲んで一休み。お祭りの影響なのか(いつものバイトさんが大蛇山に参加しているとか)、厨房もホールも無駄な動きが目について落ち着かなかった。
店を出たらちょうど、夕日が沈もうとするタイミングで、炭坑節を終えた人たちがメイン通りから三々五々。適当に場所を決め、大蛇山の登場を待ったのだけど、なんというか集中力や、日常とは違った祭りのメリハリの付き具合が中途半端で、こんなのだったかな、と首を傾げる。たぶん、僕の思い違いなんでしょうけど。この前、見物した山笠と比べるのは野暮ってものだろうし。
それでも、鐘と太鼓を鳴らしながら、巡航する大蛇山を眺めていると、自然と高揚してくる。あの、繰り返しのリズムって、奥さまが言うには、阿波踊りにも共通していているらしく、人々のお祭り心を沸き立てるんでしょうね。花火、その煙、首と尻尾を振りながら進む山、舞うように打ち鳴らされる鐘と太鼓を久しぶりに眺め、嗚呼、この祭りって火花と音の祭りだったんだなあ、なんて思った。

山を曳く中に高校の同級生を発見したのだけど、しっかり根を下ろして暮らしているんだな、と眩しく見えた。羨ましいとかではないけど、そういう生き方もあるんだよな、なんて、自分とは縁のない姿が新鮮だった。