終劇の先をイメージさせる映画でした
映画にしても舞台にしても、幕が下りて、エンドマークで物語はお終いなのだけど、それって物理的なことで、観客である僕たちの中では行き続けていることが少なくない。
今日、奥さまとKBCシネマへ観に行った映画『セールスマン』も、主人公の夫婦をその後を想像せずにはおられない作品だった。
イランの映画監督、アスガル・ファルハーディーさんの作品は『別離』、『ある過去の行方』と観ていて、心の奥底を掻き回されるというか、胸がザワザワさせられてしまう。
今回も同様に、ミステリーながらも犯人を見つけたからスッキリするわけでなく、そこからが苦悩の始まりだった。
劇中劇として挿入される舞台劇『セールスマンの死』の各シーン、台詞が効果的で、この映画の物語の先にある不安で胸を苦しくなってくる。そういやあ、『セールスマンの死』自体もフラッシュバック的な演出が機能している舞台でしたっけね。
ラストの舞台裏でのメークシーンは特に印象的で、これからの夫婦の関係性を予感させていた。