梅雨らしい雨

梅雨入りしてからしばらくは、ゲリラ豪雨かってくらい激しい雨が降っていて、ベランダの植え替えたばかりの鉢植えの土が飛び散って困っていた。それが今日の昼あたりから霧雨に変わった。ようやく梅雨らしくなってきたみたい。

梅雨といえば高校生の頃、数学の教師が授業中に雨に濡れた校庭を眺めながら「僕はねえ、雨が好きなんだよねえ」なんて呟いて、へえって驚いたことを思い出す。
当時の僕は自転車で1時間近くかけて学校に通っていて、梅雨になると毎日のようにカッパを学生服の上に着て走らなければならず、雨は鬱陶しいものでしかなかった。ただ、そのウットリした物言いが、いつも大きな三角定規で生徒を叩く、コワモテの教師から発せられたものだから、理解できないのに妙に印象に残り忘れられずにいた。
今でも梅雨が鬱陶しい季節なのは相変わらずだけど、カッパを着て自転車で走る必要もないオッサンになって、気持ちに余裕出来ができたおかげなのか、ベランダから眺める、さわさわと降り続ける雨が心地よくなってきた。
あの、教室の窓から見えた、大きな水たまりができた校庭に降る霧雨を思い出してみる。今なら「いいですねえ」なんて、頷いてしまいそうだ。



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