エロ本がコンビニの棚から消える日

本日、8月31日、コンビからエロ本の棚が撤去される。いわゆる、成人向け雑誌コーナーと名付けられていた一角だ。

僕の記憶だと、1980年代後半から、エロ雑誌はコンビニ販売への依存度を増した。そのせいで、僕が働いていた版元の営業さんは、それまでの取次への接待に加え、コンビニ関係の人へのゴルフ営業が増えていたし、大手版元だと、コンビニで使うビニル袋を負担する、なんて金のかかる営業やっている、なんてことも耳にしていた。

コンビニ販売に依存していくうちに、それまでは都条例など各地方の規制を参考に、雑誌の猥褻度がコントロールされていたのが、コンビニが設定する規制にも気を使わないといけなくなった。

その中でも、セブンイレブンは厳しく、声も大きかったため、セブンの意向に合わせてエロ雑誌を作るようになる。そんな影響下、エロ業界を震撼、そして混迷させた、シールによる封印、黄色い18禁マークによる規制方法が生まれる。

シールは店頭で中身を見られないようにする規制だけど、シールを貼るコストがエロ雑誌作りの負担になる。黄色い18禁マークはコンビニでは扱っていけないという印なので、その結果、刷り部数が大幅に減ることになる。

そんなわけで、黄色い18禁マークのエロ雑誌は、今後も書店で売られる続けるのだけど、いかんせん、書店は壊滅的に減っていて、地方には書店がない市町村が少なくない。そんな地方でコンビニでしかエロ雑誌を入手できなかった読者は置いてけぼりになってしまう。

ただ、TBSラジオで聴いたのだけど、すべてのコンビニからエロ雑誌の棚が撤去されたわけでなく、ほんの数パーセントだけど残した店舗があるという。その多くが工場地帯なんだそうで、昔からのエロ雑誌を支えてくれていた、ブルーカラーの人たちのため、販売されているようだ。

今後、多くのエロ雑誌はネット販売への依存へシフトしていくと思われる。一方、ネット販売というインフラに親和性の低いひとたちは、エロ雑誌を求め、数少ない書店や例外的にエロ雑誌を扱うコンビニを探しさまようゾンビのような存在になって、いずれは老いて消えていくのだろう。

エロ雑誌の衰退は、販売ルートとして、コンビニに過剰に依存したことことから始まったと言えるでしょう。コンビニ仕様のエロ雑誌を作るうちに、作り手も劣化というか、エロ雑誌の編集者らしさが薄れているような気がします。コンビニのエロ雑誌には、僕が大好きだったし、雑誌を作るうえでこっそり情熱を注いでいた、ぜんぜんエロくない1色頁がなくなっていますしね。