素晴らしいライブ体験、あがた森魚さんの歌声が時間を超越して染み入った

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映画のあとはライブ。今夜はあがた森魚さんのライブ「第三惑星の一夜」を大名のLivlabo福岡で観る。

あがたさんのライブには、東京で過ごしていたときに何度も観る機会があったのに、その機会の多さゆえに油断して、結局、1度も観ることなく久留米に引っ越してしまった。

それなのに、馴染みのある小屋でライブを観られるなんて、なんて有り難いことだろう。この機会を作っていただいた、小屋のオーナーでありバンバンバザールのギター・ボーカルの福島さん、福岡を拠点に活動されているタケダ2000GTさんに感謝です。

そして、ライブ。あがたさんが歌い始めたとたん、「嗚呼、“あの歌声”だ」という感動が沸き起こった。

大学の友だちに巣鴨庚申塚の共同玄関・台所・トイレの四畳半のアパートで聴かせてもらい、心奪われてしまった『永遠の遠国の歌』や、下北沢のロックバー『トラブルピーチ』で、マスターのNさんが朝方になるとかけていた『乙女の儚夢』や『噫無情(レ・ミゼラブル)』。“あの歌声”そのままなのだ。

ギターをジャカジャカ鳴らしながら歌う「サルビアの花」のなんとカッチョイイことか。生まれ故郷である北海道は留萌にまつわる歌の優しいくて切ないことよ。

そして、大好きな曲「いとしの第六惑星」はピアノの弾き語り。ジーンと痺れながら聴き入っていると、「君の唇奪う 言葉しゃべるとこへ」という歌詞のところで涙腺のダムが崩壊しそうになった。それに続く歌詞は「熊本 南熊本 水前寺 竜田口……」と、熊本と大分を結ぶ豊肥本線の駅名を歌っているだけなのに、心が揺れてしまう。

お馴染みな曲だと、「最后のダンスステップ」は緑魔子さんのパートを、コール&レスポンスみたいにして客が歌って盛り上がった。あと、鈴木博文さんカバー「大寒町」も素敵だったなぁ。

そして、最後の曲「赤色エレジー」はステージを降りてマイクを通さない、まさに生声を歌われ、“あの歌声”がさらに染み入っれくる感動。

まるで、ギターを抱いた黒い(服着た)天使のようで、ライブ後、会場を出ると、あがたさんが立って待っておられて、「感動しました! 最高です!」と、言葉足らずならがらも思いを伝えることができて嬉しかった。握手していただいた、あがたさんの手は柔らかく、とっても優しかったです。

そんなことを、煤けた匂いのする「トラブルピーチ」で、今日もいいことなかったと、しょんぼりしてあがた森魚を聴いていた、20代の僕に教えてあげたい。