愚かゆえの不幸の中から生じるヒロイズム、映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』を観た

作業部屋の室温が34度超えしたものの、北向きの窓から吹き込む風が涼しくて、エアコンディショニングなしでも夕方まで過ごすことができた。

そんな中、原稿を1本分仕上げて納品し、夕餉の支度をする前にWOWOWで録画しといたイタリア映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot)を観た。

政治や経済への不満による爆弾テロが続くローマで、窃盗などで食いつないでいる男・エンツォ。高級時計を盗んだ相手から逃れるため、潜った川で放射性廃棄物のマークがついたドラム缶に飛び込んでしまい、体調を崩して寝込んでしまう。

その後、同じアパートに住む男・セルジョの手伝いで、麻薬取引の現場に付き合ったのだが、そこで肩に銃弾を受けたうえ、ビルの9階から落ちてしまう。しかし、エンツォは死ぬどころか、銃創も治っていて、鋼鉄の身体と怪力を手に入れていたのだった。

そして、麻薬取引現場で死んでしまったセルジュの娘・アレッシアとの同棲が始まってしまうのだが、彼女は心を病んでいて、日本のアニメ『鋼鉄ジーグ』を心の支えにしており……っていうお話。

エンツォたちは誰も皆、愚かで、社会の下層で暮らしている。それは、幼少期から身体に染み付いた生活で、とても浮き上がれそうにない。そんな、薄汚れたローマのどこかの街で、ヒロイズムが生まれることが、この映画の面白さで、悲しさでもある。悪意は憎しみを呼び、そして、悲しみを生む、そんな街で。

いわゆる、普通のスーパーヒーロー物のような痛快さはない。それでも、生きる希望を感じるのは、そこに人がいるからだろう。たとえ、愚かでも、不幸でも、ヒロイズムに夢を託す人が。


エンドロールで流れる、イタリアンバラード調の『鋼鉄ジーグ』のテーマが胸にしみた

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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ (字幕版)

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ (字幕版)

  • ガブリエーレ・マイネッティ
  • 外国
  • ¥2000