この世界の“隙間”に。社会の風も吹き込んでこない隙間に暮らす家族たち、映画『万引き家族』を観た

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おっちょこちょいな蝉が鳴きだしてしまいそうな、蒸し暑い空気と眩しい青空。
いつものようにスーパー「マルキョウ」の朝市で、今週分の食材などを購入し、昼飯に冷やし山かけ蕎麦を作って食べたら、奥さまと自転車でTジョイシネマへ『万引き家族』を観に行く。

前評判を聞いていたけど、安藤サクラさんと樹木希林さんの演技の生々しさが想像を大きく超えていて、痛々しいのに目を離せない、切ないとは違う胸苦しさを味わった。

世間の目から遮断されたような、荒川区にあるボロっちい一軒家。見えもしない隅田川の花火を、家族揃って見上げているいるシーンで、その姿が空撮されたとき、ふと思ったのだけど、まるでこの映画は、コチラから社会の風(福祉)も吹き込んでこない、世界の隙間を覗き込んでいるようだった。

印象的だったのは汗。リリー・フランキーさんや安藤サクラさんの汗は、いつもベットリしていて、まるで、拭うことの出来ない業のようだった。一方、息子とされていた少年の、車上荒らしをしたリリーさんの後を追い、走り逃げているときの汗は玉のような汗で、正義が目覚めてしまったような、感情が粒立っているように見えた。あのシーンが、お話の潮目の変わり目だったと思う。そう、この家庭は、犯罪行為や悪意だけでなく、正義や善意によっても壊されていくのだから。

言葉っていうのは、額面通りに受け取るのは危険だ。特に、映画などの台詞になった言葉には、隠喩が隠されている可能性があるので、映像を見たまんまで受け取ると、作り手の意図とズレて受け取ってしまうこともある。まあ、それも映画鑑賞の振り幅の範囲内なのだろうけど。もう何回か、注意深くこの映画を見つめ直したいと思った。

あと、「松岡茉優さんのおっぱいが大きかった」というのが、奥さまと一番合致した感想だった。


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