魂の崩壊と再生の物語、映画『リアリティのダンス』を観た

原稿を昼過ぎに仕上げ、軽くざるうどんを食べたら、随分前にWOWOWで録画しといた、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の『リアリティのダンス』を観た。軍事政権下のチリを舞台にした、ユダヤ人で共産党員で元サーカス芸人で商人の父、会話がすべてオペラみたいな歌になってしまう巨乳の母、そして美しい少年という、3人家族の物語。
前半はまるで前衛アートのような、刺激的なイメージの連続で、この作品に付いていけるか不安になったけど、それぞれの父、母、息子たちの魂の輪郭が見え始めると、グイグイを引き込まれるようになった。

大統領を暗殺を失敗したことにより、父は指が麻痺し、家族の元へ帰ることもままならず、チリの街を放浪する。そこで出会った人々の施しや愛により、指とともに崩壊していた魂が再生していく。
そして、家族と再会し、妻がピンヒールを履いたまま夫を抱き上げるのだけど、このシーンが僕的なクライマックスで、本作品のフェチの全てが込められているような気がした。


原稿を再推敲して納品したら、夕方、長い散歩に出た。

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