光と闇の中で翻弄される思春期と家族と台湾社会に浸る4時間


いつものようにスーパー「マルキョウ」の朝市で今週分の食材などを買い出ししたら、奥さまと西鉄に乗って天神へ。
昼飯を食べ、ユニクロ無印良品で奥さまの買い物に付き合ってから、KBCシネマでエドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件 A Brighter Summer Day』の4Kレストア・デジタルリマスター版を観る。

本作は1960年代初頭に台湾で起こった中学生同士の実際の殺傷事件を基に作られていて、その頃、ヤン監督も思春期を迎えていたのそうだ。
見る前は4時間という長尺が気になって、直前までにしっかり排泄を済ませたり、もしもの時用に通路側の席を確保したりしたけど、当時の台湾の世界に浸っているうちに、ダレることなく観ることが出来た。

蒋介石率いる中国国民党が、毛沢東率いる中国共産党に敗れ、台湾に逃れてきた以降の社会は、排他的で、懐疑的で、思春期の少年たちでさえも、明るい未来を夢見る余裕もなく、今を生きるために、まさに身を切るような思いをしていた。

それは甘酸っぱいはずの恋愛さえも同様で、主人公の少年はとんでもない行為に及んでしまう。彼は明るい未来のためと、信じていたのかもしれないのに。

少年と少女たちの恋愛、友情、そして抗争を軸にしながら、その家族、社会情勢を書き込んでいくいくうちに、4時間になってしまったって感じで、ある意味、贅沢な作品だった。

できることならば、1960年代の台湾のことを、軽く学んでいったほうが、少年たちの焦燥感を理解できるかもしれない。単なるチンピラたちの抗争映画だと誤解しないために。